ニコンFMを語る
いまニッコールレンズとともに使っているFM。私的には一眼レフが一番使いやすい(直感的に撮れる、という意味で)ので、フイルムで撮るときはだいたいこれ。
そんなFMの話をしてみたいと思います。FM2がスタンダートとして有名なせいで陰に隠れてる感がありますが、使ってみると色々面白いカメラですよ。
語るっていうほどの知識も機材もありませんが、どうかお手柔らかに。
緒元
面倒なので省略!(笑)簡単に書いておくと、こんな感じ。
・135フイルムを使用する一眼レフ。
・機械式縦走り金属幕シャッター B・1~1/1000秒。
・シンクロ1/125秒。
・露出計はLED3灯式の5段階。中央部重点測光。
・Ai対応。
・Ai爪は可倒式で、非Aiレンズを取り付けたときは絞り込み測光に。
・ミラーアップ機構なし。ファインダーシャッターもなし。
・セルフタイマーあり。
・ファインダースクリーンは固定式で交換不可。
・SR44×2使用。700gもない気がする。測定してないけど。
ニコンFMが生まれた時代
1977年5月発売ということは、時代はニコンF2。キヤノンはF-1で対抗していた時期。
ニコン製品はこの年からAi化が始まり、激動の時代を迎えています。
3月に発売されたニコマートFT3、F2フォトミックAで初採用されたAi方式をもとに、ニコンは新しいカメラを作ったわけですね。それがFMとFE。
廉価版とはいいながらも、コンパクトで作りがいいので粗雑な印象は皆無。登場時のキャッチフレーズは「コンパクト・ニコン」でした。
兄弟機ともいえるニコンFEは翌年、1978年4月発売。FEは電子シャッター、絞り優先AEだったかな。
外観からの識別ポイントは巻き戻しクランク周辺。FEはこの部分に露出補正ダイヤルがある関係上少し段差が付いていますが、FMには無いんですね。
外観から分かるのはこの部分ぐらいなのではと思いますが、他に識別ポイントあるのかな?外見はそっくりさんですが、露出計もシャッター制御機構も全くの別物ですから、中身は全然違うんでしょうね。
ちなみに、この部分に露出補正ダイヤルを設ける方式は、F3やDfなど、のちのモデルにも受け継がれていきます。
1982年に後継のFM2(旧)にバトンタッチして役目を終えます。このFM2はマイナーチェンジ(new FM2へ)を経つつロングセラーとなり、2001年のFM3aまで続きます。
マニュアル機のラインナップは地味な感じがしますが、FEシリーズの方はこの間にEMが登場し、80年代にはFAを始め色々な機種が発売されて賑やかな時代に入っていきますね。
面白ポイント
Ai爪が可倒式
さっそく写真撮り忘れましたが、FEと並んで、Ai爪を倒すことで非Aiレンズも使えるようになってます。冒頭の写真で、爪が倒れてるのが分かるでしょうか?
もちろん爪を倒せば絞り値が認識されず、絞り込み測光になりますが、使えるのは大きな強み。まだまだAi化の過渡期だった時代を感じさせます。まあAiレンズが前提なので、古いレンズを付けると絞り値読み取り窓の位置が合わなくて真っ暗になっちゃいます。
爪を倒したままAiレンズを取り付けることは可能ですが、爪を立てたまま非Aiレンズを取り付けることはできません。というか絶対にやってはいけません。簡単に壊れます。爪がレンズに食い込んで外れなくなったり、爪が変形したりするそうです。購入時に説明を受けました。非AiレンズとAi改レンズを混用している方は注意が必要。私もね。
後継のFM2、FE2やF3になるとこの爪は固定式になります。F4は可倒化サービスやってたんでしたっけ。
時代による変化
製造年代によって、細かい部分の違いがあります。
時代が下るほど、コストダウンの為か簡略化されているようですね。変化は次の2点。
・シャッターボタン周りのリングのローレットを省略。
・巻き戻しクランクの外周についているローレットを省略。
どちらが先に省略され始めたかはわからないけど、どちらかのローレットが残ってる個体もあるので、時期に差があるのか、それとも部品を付け替えたのか?うーむ。
巻き戻しクランクの方は、ローレットがあると巻き上げ時に引っかかりやすくなるので、ユーザーからの希望がありそうな気がします。実際に指が引っかかりました。痛い。
それでも、手間のかかった仕上げが施されている方がエレガントな感じがするのは私だけかなぁ?
あと、詳しくは確認してませんが、底蓋の刻印も何パターンか見ています。沼だ…。
操作
操作系統は初代モデルらしく、F3やFM2よりもFやF2に近い印象を受けます。
「巻き上げレバーを引き出すと露出計がONになる」機構は備わっていますが、「巻き上げレバーを戻すとシャッターロックする」はまだ搭載されていません。
じゃあどこでシャッターロックするの?というのは、前述したシャッターロックのあるリングを回すとロックされるようになっています。このリングでの切り替えはモータードライブを使うときにも活躍するみたいです。
この機構はシャッターリングのローレットを廃止すると使いづらくなるはず(指の引っ掛かりが悪くなるから)なので、後期の個体では変化しているんじゃないか?と疑ってます。触る機会があれば確認してみたい。
シャッターボタンの形状も古いタイプで、AR-1が入りますし、レリーズもS型シリーズ以来のカブセ式の(AR-2)が使えます。ここで新しい形式のレリーズ(いま一般的なタイプ、(AR-3?)でも使えるようになっているのは流石のデザインと思います。
Ai爪が可倒式になっている点からも感じますが、古いものとの互換性を失わずに、新しいものを作ろうという思想が読み取れますね。
シリアル
これはFM全般、というよりは私の個体に関するお話。
これ相当若番なんじゃないか?って疑ってます。露出計もシャッターもシャキシャキ動いてますが、感度表示窓がなくなってるのは残念。
ニコンFMのシリアルなんて誰も気にしないので、どの番号から始まった、とかいう情報は出てこないんですが、画像検索しても自分のより古い個体に出会わないんですよね。
もし古いのあったよ!っていう方がいたらお知らせください(笑)。
自分的最高カメラ
ニコンFM、将来の修理用にもう一台あってもいいと思えるぐらいには気に入っています。行きついたのはほとんど成り行きでしたが、使ってみると取り回しの良さが際立ちます。色々面白ポイントもありますし、オールドニッコールが使いやすいのもgood。まあこれは私の感性の問題で、どうしても非Aiレンズを使いたいのでなければ、友人にはFM2やFM3a(高騰してるけど、、)をお勧めしますね。
ニコンFMシリーズは、FM、FM2、FM3aと続きます。デザインこそほとんど同じですが、中身は全くの別物。それぞれの特徴はAi化、シンクロ1/250秒達成(1/4000秒)、マルチ化・ハイブリッドシャッターかな。こんなカメラをそれぞれ作ってしまうニコンは、改めてすごいと思うのです。技術のニコンですね。
露出計がダメになると全交換という噂なので、壊れないことを祈りつつ、大事に使っていこうと思ってる。何か間違ったことを書いてたらスミマセン。